2016年07月30日

No825 府中駅誕生100年記念 「京王電車がとおったころ」特別展


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     ▽「京王電車がとおったころ」 特別展のパンフレットから ▽

京王線府中駅の開業は、1916(大正5)年10月31日。
ことし10月で開業100周年を迎えることになり、それを記念して府中市郷土の森博物館で、「京王電車がとおったころ 〜府中駅誕生100周年記念〜」と題し、今月16日から9月4日までの日程で特別展が開催されています。

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会場は、「京王電車がとおるまで」、「やっと開通! 京王電車」、「新宿・東八王子間で直通運転!」、「京王電車がもたらしたもの」、「特設コーナー 京王電車とともに」の、5つのコーナーで構成されています。

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        ▽ 京王電気軌道府中駅開業に関する展示資料 ▽

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      ▽ 京王電車・玉南鉄道の沿線案内 1925(大正14)年 ▽

会場では100年前、府中に京王電気軌道が新宿から到達するまでの時代背景と関連資料、その後の府中を軸とした玉南鉄道の開業、新宿−東八王子(当時)間の直通運転開始などがもたらした意義や経済効果、府中の街の近代化や沿線の発達などについて、地元府中市や沿線自治体、京王などの資料がふんだんに展示され、かつ丁寧な説明がなされています。

写真ではアップでご覧いただけませんが、1916(大正5)年10月31日京王電気軌道府中駅開通初日の祝賀会への案内状、開業時の府中駅構内図と駅舎図、1923(大正12年)撮影の府中駅構内に停車する9型12号木造車両の写真、1925(大正14)年開業時の玉南鉄道府中駅図や駅舎模型、各時代の公文書など、貴重な資料や各団体の収蔵物が数多く展示されています。

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京王電車がもたらしたもの」のコーナーでは、各時代の京王の沿線案内、それに懐かしいグリーン車の行先板、さらに昭和30年代の府中駅や周辺駅の貴重な写真も展示されています。

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   ▽ ブックレット「京王電車の開通と府中駅」
          府中市郷土の森博物館 2016年7月発行 ▽

また会場ではこの展示に合わせ、府中市郷土の森博物館編集のブックレット 「京王電車の開通と府中駅」(本記事一番上の写真で、下部に表紙が映っています)が1冊300円で発売されています。
本展示の各種資料や写真はもとより、詳細な解説文も多数掲載されています。

1889(明治22)年、甲武鉄道(現JR中央線)の東京・八王子間が開通、多摩地区の物流が国分寺駅に集約され、宿場町府中は勢いを失していく中、府中がいかに鉄道を渇望し、やがて京王や玉南鉄道の開業により新宿・八王子へと直通が実現し、今日の発展の基礎が出来上がっていく1世紀の変遷を、平易に学ぶことが出来ます。

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ここから先は私見ですが、いつもこうした資料展を見るにつけ、平成25年4月の京王線開業100周年において、京王自身の手による100年史が公刊されなかったことが悔やまれます。
今後2020年以降の経営計画において、学芸員のような形での専任担当者を置く常設組織の設置は難しいとしても、鉄道、総務、広報部門、そして知見豊かなOBパワーなどの力も結集し、 "京王100年のあゆみ" 編纂の臨時組織を構成し、沿線自治体などとも連携し、誇るべき1世紀の歩みを公共の知的財産として未来に残して欲しいと思います。

車両の現物保存や写真、公文書、沿線案内等の保管・展示に留まらず、それらが時代に残した足跡、価値や評価、意義などを京王自身の手で、京王の視点で編纂し、各自治体編纂資料の枠を越え、沿線全体の経済、暮らし文化、京王の発達史として、誰もが利活用できる変遷史として継承していく必要があると思います。
この機を逃すと、開業から昭和初期までの出来事、経緯や姿はだんだんと推測の世界になってしまいます。
2020年以降の京王の長期ビジョンの中で、れーるランドに博物館機能を付加していく第2次整備計画を策定し、京王が果たしてきた1世紀を超える地域貢献、発達史の可視化、保存・展開事業の具体化を期待したいと思います。

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なお今回の「京王電車がとおったころ 〜府中駅誕生100周年記念〜」展は、9月4日(日)までの日程で、分倍河原駅が最寄り駅となる府中市郷土の森博物館で開かれています。
詳しくは博物館のホームページでご確認下さい。
期間中、学芸員による展示解説も用意されています。

なお本記事で使用した写真は、府中市郷土の森博物館の許可を得て撮影したものです。
ただし各資料のアップの撮影は避けるよう指導があったため、記事ではロングカットのみの使用となっています。

[ご参考:京王に関する沿線自治体の資料展]

posted by 特急高尾号 at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | アラカルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月25日

No824 5年前の京王電車I 平成23年5・6月


5年前の京王電車の世界を、当時の「京王線 井の頭線 応援歌」の記事から振り返えります。
今回は2011(平成23)年5月・6月分をまとめてお伝えします。
(少々遅延運転になっています。)

【平成23年5月】
<行先案内表示 全駅設置>

列車の行先や発車時刻を表示するホームの「行先案内表示」について、京王ニュース23年5月号が全駅での設置を完了したと伝えました。

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  ▽ 全駅設置が完了した「行先案内表示」 聖蹟桜ヶ丘 23.5.4 ▽

当ブログではこの記事に鑑みて、ふだんとは異なった表示事例を紹介しています。

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   ▽ 3.11地震の影響で通常の5割運転を伝えた表示
                         明大前 23.3.12 ▽

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  ▽ 節電ダイヤで準特急の20分間隔運転を伝えた表示
                          府中  23.4.2 ▽  

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   ▽ 事故による大幅な「遅延時間」を伝えた表示
      「通快 高尾」表示にも注目  めじろ台 21.8.10 ▽

そして当ブログでは、各駅でもっと積極的に備考欄を活用すべきだと提言しています。

備考欄の活用について当時の駅に尋ねて見ると、『パソコン入力に不馴れでして…』と、素直な返答が返ってきました。

この点については不馴れかどうかは別として、現在も積極的活用例はあまり見受けられません。

この行先案内表示については、ことしに入って橋本、笹塚、南大沢駅でさらに新しいマルチカラー表示に更新されたことは、皆さまご存知の通りです。

今年度はこの後、5月に公表されたニュースリリース「2016年度鉄道事業設備投資計画」によると、飛田給、高幡不動、吉祥寺駅でマルチカラー化が予定されています。


<新宿−笹塚 長時間の運転見合わせ>
この月の31日夜、京王線新宿笹塚間の上下線が「電気設備の点検」という理由で、午後6時過ぎから10時半過ぎまで運転が見合わせとなりました。

運転見合わせがちょうど夕方から夜間ラッシュ時間帯と重なり、新宿を始め各駅では大混雑となりました。

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事故原因については、各駅の掲示板や車内アナウンス、京王のホームページでは単に「電気設備点検のため」と説明されました。

長時間の「電気設備点検」が必要となった本当の理由は何であったのか−。

利用者は真の原因を知る権利があるのですが、障害区間が地下であったためか否かは別として、真相は“闇の中”でした。






事故当日は復旧に向けた作業で手一杯だったと思われましたが、翌日になってもは一部の駅でのみ「電気設備の点検で運転見合わせになり…」と、前日と同様内容でのお詫び文が掲出されただけでした。

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このころから各鉄道事業社は、鉄道側の責任事故やトラブルが発生した場合、具体的な内容を公表せず、単に「○○の点検のため」という簡易な定型文でアナウンスする傾向が定着し始めていました。

当時、京王もそうした傾向を濃厚にしており、トラブル時の利用客に対する正確な情報提供という点で、大きな禍根を残した事例となりました。

【平成23年6月】

<井の頭線の紫陽花>

6月に入り、井の頭線沿線の風物詩、紫陽花が咲き始めました。

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    ▽ 井の頭線 新代田         23.6.15 ▽


井の頭線の新代田駅です。

井の頭線はこの時期、沿線一面に紫陽花が咲き誇り乗客の目を楽しませますが、新代田駅は当時、上り・下り双方のホーム上で紫陽花が楽しめました。


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新代田駅は、ホームから隣の駅、上り方は下北沢駅、下り方は東松原駅を見ることが出来、隣の駅に停車している列車の息遣いも楽しめるという、貴重な存在です。
何とも言えぬ“私鉄電車の雰囲気”ということで、この頃から当ブログでも度々井の頭線の“紫陽花ロード"をご紹介しています。


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  ▽ 各駅のホームを彩った紫陽花のポスター  23.6.4 ▽

そしてこの年、京王線の各駅ホームには、こんなに素晴らしい 紫陽花と井の頭線電車のポスターが姿を現しました。環境保全対策に取り組む京王の企業PRのものでした。
当時ホーム掲示板PRポスターに度々登場する京王電車のイラストは、いつも出来栄えが素晴らしく、電車を待つ人々の気持ちを和らげていました。


[ご参考:当該の過去記事]

 〇行先案内表示 全駅設置完了 平成23年5月

 〇情報の開示を 〜新宿−笹塚 長時間不通〜 平成23年6月

 〇井の頭線 紫陽花の季節 平成23年6月

 〇井の頭線 新代田の紫陽花 平成23年6月


次回は、2011(平成23)年7月・8月分をまとめてお伝えします。


posted by 特急高尾号 at 14:35| Comment(2) | TrackBack(0) | 5年前の京王電車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月18日

No823 消えた「KEIO」ロゴマーク"


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              ▽ 8003F 8553+8503  北野  28.7.2 ▽

先日、緩急接続の乗換駅で各停運用に入っていた8000系大規模改修トップバッターの8003Fに出会い、中間車化された8553+8503の連結部を中心に撮影しました。
これがその写真ですが、後日しっかりと見てみると、登場直後に残っていたかつての運転台後部にあった「KEIO」のロゴマーク跡が消えていることに気づきました。

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 こちらの写真は、登場間もない26年4月のものです。

大規模改修前の運転室後部に貼られていたロゴマークのステッカー跡がくっきりと見てとれます。

これには私たちファンはもとより一般のお客様も、『え〜っ、何これっ』と言った感想を持ったことでした。


さすがに京王もこれはまずいと思ったのか、大規模改修第2弾8013F以降からはしっかりとロゴマーク跡の上からメタリック塗装を施し、こうした姿は見られなくなりました。


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         ▽ 8003F 8553+8503  北野  28.7.2 ▽

さて話はもとに戻って8003Fですが、いつの間にか「KEIO」ロゴマーク跡は綺麗に塗装され、姿を消していました。
車体側面をみると全般検査期日が16年3月と表示されていました。その際に綺麗にお化粧直しが行われたものと思われます。
そもそも私の気づきが遅すぎなのですが、一部に"まだ" の方もいらっしゃることを想定し、あえてご報告としました。

それにしてもマーク跡とはいえ、現役車両のコーポレートロゴマークを消去する作業を行った係員の方は、複雑な心境だったのか、綺麗になりスッキリとした心境になったのか、どちらだったのかと思ったことでした。

posted by 特急高尾号 at 12:55| Comment(6) | TrackBack(0) | 車両 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月10日

No822 点描 京王線 インターン広告にダイヤグラム


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京王線の車内に、ご覧のような吊り広告が掲出されています。
車内で何やら、ダイヤグラムと同一の青地の色味が目に入りました。
近づいて見ると、大学生・大学院生を対象にした京王のインターン募集の広告でした。

京王の社員募集などの吊り広告は、通常建物や車両、または現場と社員の入れ込み写真などが定番ですが、ダイヤグラムなど現場で使用する備品などをモチーフにした作品は大変珍しいと思います。

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よく見ると大枠の斜線は1時間単位で、5時台から17時台まで、正確にきちんと入っています。またインターンの「ン」の文字には出庫の丸印が、「タ」の文字の右には入庫の三角記号までデザインするという凝りようと遊び心です。(いやいや、真面目に、リアルに取り組んだのかもしれません)。

さてこの広告ですが、関係者やファンならダイヤグラムを現していると一目瞭然ですが、一緒に乗車していた家人の感想は、『地味ねぇ…』でした。
私はというと、『いやいや、これを一目見てダイヤと理解出来るような、やる気満々になる奴がいいのだ。そうした学生に応募してもらいたいのだろう』と、偉そうに解説したことでした。

ちなみに広告によると、事務系総合職のインターン募集はないという事で、技術系の電気・車両・土木・建築の各鉄道業務を対象とした総合職のインターン募集という事でした。念の為。

笹塚−仙川間の高架化を始め、将来の計画路線として位置づけられている笹塚−調布間の複々線化計画などを担える、やる気満々の多くの学生からの応募があるといいですね。

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2016年07月07日

No821 京王多摩センター駅 サンリオキャラクターで満艦飾 キティちゃんが名誉駅長


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ことし3月から4月と、段階的に整備が続けられていた京王多摩センター駅のサンリオピューロランド仕様の装飾がこのほど完成し、今月9日からは縫いぐるみ付きの記念乗車券も発売されます。

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        ▽ "サンリオ装飾" が施された京王多摩センター駅 28.7.6 ▽

今回は改札口前の天井やコンコース、事務室、ホーム番線・行先方向案内表示などが装飾され、京王多摩センター駅は一段と楽しい駅に変身しました。

コンコース天井は巨大なステンドグラス風照明となり、この駅の名誉駅長に就任しているキティちゃんを始め、数多くのサンリオキャラクター達でいっぱいです。その大きさに、ど肝を抜かれます。

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券売機ゾーンや時刻表周りは落ち着いたプルー地にゴールドのデザインや縁取りがちりばめられ、名誉駅長のキティちゃんや駅の各係りに命名されたキャラクター達が微笑んでいます。

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今回はこれに加えて、改札内の精算機や駅事務室内カウンターも装飾されました。

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そしてこんなところにも、こだわりが…。

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いつの間にか、ホームの時計もこんなに可愛いものに変身していました。

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そして7月6日に訪問してみると、

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ホーム番線や行先の方面を示す案内表示も素敵なボードに変身していました。

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日差しの強い日中よりも、夕闇が迫る少し前ぐらいの時間帯が訪問のおすすめです。
プルー地の駅名標や番線・行先案内表示などに灯りが入り、キャラクターがほのかに浮かび上る様は雰囲気満点です

京王多摩センター駅の "サンリオ装飾" は、京王とサンリオエンターテイメントが共同で集客と地域活性化を目的に取り組んでいるもので、ヨーロッパの街並みをモチーフに、サンリオの世界を感じてもらえる空間を目指したという事です。

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なお3月12日から運転されている京王多摩センター駅装飾記念のヘッドマーク付きラッピング編成(9031F)は、8月31日まで運転されます。

今回の記事の撮影は、平成28年7月6日に行ったものです。
一部に3月、5月に撮影したものも含んでいます。

posted by 特急高尾号 at 07:41| Comment(2) | TrackBack(0) | アラカルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月01日

No820 京王線ダイヤ考察 本数見直しの真意とは


京王は、京王線のダイヤ改定を2013(平成25)年2月、そして2015(平成27)年9月に改正、また井の頭線も2015(平成27)年2月に改訂を実施しました。(昨年9月以前は「改定」ですが、以下便宜的に全て「改正」と記します。)

その内容は京王線では、朝ラッシュ時間帯の急行等を格上げして速達性の高い特急・準特急を増発、井の頭線でも急行列車を増発、両線で朝ラッシュ時のダイヤ構成の改革が行われました。さらに京王線の特急から各停までの速度向上を実施し、日中時間帯を中心に所要時間の短縮化も行われています。
一方で朝ラッシュ時1時間あたりの列車本数の見直しを行い、両線ともダイヤ改正時は増発を行うというこれまでの方針が見直され、列車本数を一部削減するという新しい取り組みが行われました。
これらについては、当ブログでも当該時期にご報告しています。


しかしダイヤ改正におけるこうした新しい考え方については、一般利用者向けの広報は行われませんでした。そのため利用者にとってはダイヤ改正に際しての京王の考え方、方向性については知る術がありませんでした。というよりは知る由もないというのが実情でした。

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 ▽「鉄道ピクトリアル」平成28年8月号「東京圏民鉄ダイヤ事情」記事 ▽

ところが6月下旬に発売された「鉄道ピクトリアル」通巻920号、平成28年8月号の東京圏民鉄ダイヤ改正特集の「東京圏民鉄ダイヤ事情」記事(富井 規雄:千葉工業大学教授執筆)は、近年の京王のダイヤ改正は列車本数を見直す新しい取り組みを行っていると紹介し、かつその新方式は京王によると、大きな成果を上げていると伝えています。

記事によれば、京王は2013(平成25)年2月と2015(平成27)年9月の2度の京王線ダイヤ改正(注: 2015年2月の井の頭線改正には触れていない)で、列車時刻の変更、及びラッシュ時1時間当たりの運転本数の調整を行い、朝ラッシュ時1時間あたりの運転本数を30本から前者2013年改正で28本、後者2015年改正ではさらに1本減らして27本にしたとしています。
トータルでは本数削減ではなく、列車本数の調整を行い、ラッシュ時以降の時間帯に本数をずらした形になっている。本数を減らしたというより、「実態に合わせたダイヤ」を導入したと言った方がいいだろうと記述しています。
そしてこのダイヤ改正は停車時間超過等による遅延対策が狙いで、京王によるとこの改正の効果は著しく、定時到着率・最大遅延ともに昨年度に比べて大幅に改善されたと報じています。

当時、当ブログでは、井の頭線も含めて本数の削減事実には触れましたが、その理由については珠数つなぎ状態での列車遅延状態を少しでも改善するために一部列車の削減を実施、列車間隔を確保して珠数つなぎ運転の解消、ダイヤ最適化の実現を目指したものではないかと推測を記しました。
今回の鉄道ピクトリアル「東京圏民鉄ダイヤ事情」の記事を読むと、近年の京王のダイヤ改正は大筋でそうした方向性に基づいて実施されたことが分かります。

当時私は、ダイヤ改正については次のように考えていました。
ATC導入後の本格ダイヤ改正でこれまで通りの過密ダイヤを継続し続けると、かえって珠数つなぎ運転を誘発・増加させることになり、特に明大前付近での増加を懸念しました。

改正前は、9時を過ぎても優等列車は千歳烏山→明大前間で10回を超える徐行、停止の繰り返し運転は珍しいことではありませんでした。井の頭線の神泉駅手前でも徐行運転が続いていました。当然各列車は、日常的に遅延状態化していました。
こうした状況の改善は、当時の京王にとって至上命題、急務であったと考えられます。

そのため「東京圏民鉄ダイヤ事情」の記事にあるように、京王は慢性的な遅延状態の大きな原因である停車時間超過と数珠つなぎ運転を解消するため、ダイヤを当時の運転実態に見合ったものとし、優等列車等に必要な停車時間とダイヤ通りの運転間隔を確保。結果として駅間の徐行運転の減少、遅延状態の改善、定時到着率も向上させるという改革に挑戦したのだと思います。

一部列車の削減は、そうした大局的判断の中で、一つの方法論として、また結果論として起こり得た産物と言えます。「東京圏民鉄ダイヤ事情」記事ではその点について、「トータルの本数削減ではなく、列車本数の調整を行い…」と解説しています。

朝ピーク時のタイヤ再編成、最適化への取り組みには様々な要因の克服が必要であり、並大抵のことでは実現しないことは容易に推測できます。したがってこの改革は京王にとっては大きな企業戦略として取り組んだものと思います。

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     ▽ 朝ラッシュ時の明大前駅
       混雑は相変わらずだが遅延は大幅改善  28.6.30 ▽

そうした取り組みの成果を裏付けるように、私が毎日乗車する平日朝8時台後半〜9時台後半の京王線上り特急・準特急は、ダイヤ改正後は千歳烏山→明大前での徐行運転、停車の繰り返しは大幅に減少し、驚くことに定時運転や早着すら見られるようになりました。現在の京王線の8時台、9時台の上り特急、準特急の走りっぷりは驚くばかりです。

一方で調布(井の頭線では明大前や下北沢)などの途中主要駅での優等列車の停車時間は、公表されている時刻では分単位しか分かりませんが、これまでより長くなっているように感じます。停車時間超過による遅延解消のため、実情に合わせた停車時間を設定したためと考えられます。

井の頭線では、急行が明大前や下北沢には発時間までかなり余裕のある時刻で到着し、1分、2分と停車します。ホームの乗客が全員乗り終わってもまだ発車することなく、定時発車時刻を待ちます。仮に明大前で遅延が発生していても、下北沢で吸収、定時運転に戻ることが出来ます。

この一連のダイヤ改正で、既存列車の所要時間は列車によって長くなったり短縮化されたりと様々ですが、利用者、特に立席の人にとっては珠数つなぎ状態による徐行、停車の繰り返し運転が改善され、ストレスは少なからず減少していると思います。
一方京王にとっては遅延減少、定時到着率の大幅向上という、数値的に大きな成果がもたらされたと言えます。新方式でのダイヤ改正の京王の狙いは、まさにこの点にあったとも言えそうです。

さて鉄道ピクトリアルの当該記事によりますと、ことし28年4月の交通政策審議会では、東京圏における新線建設の答申とともに、今後鉄道事業者に対して「遅延状況の【見える化】」、「遅延対策取り組みの促進と対策内容の情報公開」などを求める記述が付されていると伝えています。
近年の京王のダイヤ改正の取り組みは、情報公開は別としても、内容においては交通政策審議会の求めを一歩先んじた取り組みとして、価値ある事例だと思います。

鉄道ピクトリアル「東京圏民鉄ダイヤ事情」記事は、京王と同様のダイヤ編成が東急田園都市線渋谷口でも行われていると紹介しています。明大前駅と田園都市線渋谷駅は乗降ホームが1面という共通点があり、停車時間超過による列車遅延対策が必要であった点で同一という事です。
この「東京圏民鉄ダイヤ事情」記事は大変興味深く、東京圏私鉄の最新ダイヤ事情を知る上で示唆に富んだ内容です。

なお、本稿で記した京王線・井の頭線のダイヤ実情については、私が日々実際に乗車している午前8時台後半から9時台後前までの状況と所感をもとに記したものです。
最大ピーク時の午前7時30分〜8時30分、及び相模原線の実情については実際に乗車していないため、記述は控えていることをご了解願います。

posted by 特急高尾号 at 23:36| Comment(7) | TrackBack(0) | ダイヤ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする