2016年05月04日

No810 2018年春 京王VS小田急の陣


808-1 小田急複々線化後のダイヤを伝える28.4.28日経新聞朝刊.jpg
     ▽ 小田急線複々線化後の列車ダイヤを伝える
     平成28年4月28日の日経新聞朝刊記事(一部)▽

4月28日(木)の日経新聞東京地区朝刊社会面(15ページ)を見て、びっくりしました。
「小田急電鉄 朝の列車3割増へ 複々線化でラッシュ緩和」とあり、まとまった記事が掲載されていました。

さっそくソースを調べると、この日小田急電鉄は、「2015〜2017中期経営計画進捗状況」「2016年度鉄道事業設備投資計画」、それに「複々線完成に関する効果について」と題した経営に関する3本の記事を、それぞれホームページ上で公表していました。
日経新聞の記事は、それらを簡潔に要約したものでした。

小田急の公表情報、及び日経新聞記事によると、現在も続けられている東北沢−和泉多摩川間の複々線化工事のうち、残る東北沢−世田谷代田間の工事が2018年3月に完成するとしています。
それに合わせ急行・準急系統と各停を別線に分離して抜本的なダイヤ改正を実施、その内容は平日朝ラッシュ時の各駅から新宿までの所要時間を5〜10分程度短縮するとともに、大幅な列車本数の増加と混雑率の緩和を実現するというものでした。

具体的には、列車本数は3割増加、平日朝ラッシュ時ピークの7時〜8時台の上り列車を現在の27本より9本増やして1時間当たり36本に、また代々木上原からの東京メトロ千代田線への乗り入れ列車も5本から12本に増加させるという内容でした。

つまり複々線化工事完成後の2018年3月ダイヤ改正では、所要時間の短縮、大幅な列車本数増と混雑率の緩和、東京メトロ直通列車増による都心方面へのアクセス向上を実現するというものです。

これらの内容が小田急と並走・競合する京王にとって、あらかじめ想定されていたこととはいえ、実際にどの程度の影響をもたらすのか。
そう遠くはない、あと2年後の事ですから、今後関心が高まるものと思われます。

【京王電鉄では−】
こう考えると、昨年9月実施の京王のダイヤ改正は、この小田急の複々線完成後のダイヤ改正の攻勢と、その後2020年度に予定れているJR中央線快速電車の2階建てグリーン車投入を意識し、現段階で最大限の取り組み、先行実績作りを試みたと言っても過言ではないと考えられます。

つまり、土休日も含めた始発・最終列車の繰り上げ・繰り下げ、早朝始発から深夜までの特急列車運転、ATC活用による列車のスピードアップと所要時間短縮、都営線直通列車の大幅増、特急続行運転のありようが注目された中での橋本特急の継続運転などです。

そしてとどめはことし3月、昨年5月に「検討」を公表したばかりの有料座席指定列車について、いきなり新車投入と運転開始時期を小田急のダイヤ改正時期に合わせたともとれる2018年春と公表したことです。
有料座席指定列車の運転区間には当初から新宿−橋本間の相模原線が設定されていること、車両は現有車両の改修ではなく、新車5000系50両を新造して対応することなども、これでうなずけます。

【京王の奮闘に期待】
有料特急やホームライナーの運転については、小田急には長年にわたる経験とノウハウが蓄積されています。
一方経験のない京王は、有料座席指定列車を現行複線路線で運転するため、ダイヤの設定はもとより、新造車両のグレード、指定席販売方式や改札方式などに真価が問われます。
京王は運転時間を「夜間帰宅時間」としており、現在の狭隘ダイヤの中で具体的にどのような時間帯に設定するのか注目されます。

また小田急との競合区間、たとえば多摩センター−新宿をはじめ各区間で、所要時間については小田急に水をあけられる可能性が想定されます。

列車ごとの駅間所要時間はスマホで簡単に比較が可能な時代に入っており、今後競合区間では所要時間の長短が利用者の乗車選択の大きな要素になりそうです。
小田急は、「複々線完成に関する効果について」のリポートの中で、「ラッシュ時間帯を中心に速達性を向上させ、競合する他路線との差別化を実現」すると明言しています。

混雑率も、小田急は現行の体が触れ合う189%から、新聞・雑誌が楽な姿勢で読める160%程度にまで軽減するとしています。

都心方面への利便性向上については、京王は昨年9月のダイヤ改正で都営新宿線直通列車の大幅増を実現、小田急より一歩先んじた形となっていますが、直通運転の区間急行、快速の所要時間がかかり過ぎ、この点に課題を残しています。

小田急はことし3月にも大規模なダイヤ改正を実施していますが、将来東京メトロ・JRと共同でさらなる都心方面直通列車の速達化、本数増と運転区間拡大などのダイヤ強化が推し進められれば、京王にとっても少なからず影響を受けることを想定しなければなりません。

そうした環境下で笹塚−仙川間の高架化完成(事業期間:平成25〜平成34年度)までにはまだ多くの時間を要するため、小田急の複々線完成ダイヤ改正時から京王の高架化線完成ダイヤ改正時までの間は、京王にとってはある意味正念場、踏ん張りの時期になりそうです。

このように京王にとっては、これから厳しい競争時代を迎えますが、時あたかも小田急が複々線完成時のダイヤ改正概要を公表した同じ4月28日、京王は代表取締役の異動人事を内定し、公表しました。
これまでの代表取締役会長兼社長は代表取締役会長に、代表取締役副社長が代表取締役新社長に就任するというもので、6月に行われる株主総会後に正式決定するという事です。

今回の異動人事の内定については、これまでの実績を踏まえつつも、2020年代以降の京王グループの成長の実現に向け、人心を一新し、新しいスタートを切るための交代と、その意義を説明しています。

京王は沿線の左右をサービス強化、鉄道事業強化策に突き進む競合路線に挟まれる中、有料座席指定列車の運転、高尾山観光輸送強化などを進める一方、その後に続く笹塚−仙川間高架化完成、新ダイヤ開発などを通じ、もっとも基本となる通勤・通学輸送のさらなる利便性の向上・快適性向上を実現してほしいと思います。

それに加え、京王らしい特色として駅施設や車両機能の高度化促進、時刻表や運行情報などの情報発信機能強化など、新たな差別化ポリシーを明確に打ち立て、鉄道事業全体に関するサービスや付加価値向上に向けた伝統の進取の取り組みを、新執行部に期待したいと思います。

posted by 特急高尾号 at 12:42| Comment(7) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
GWの最中、いかがでしょうか?

今回は冷めた目で一言。
まず、社長の交代は既成路線。後進に道を譲るというところでしょうか。
長くやっていると、嘗ての「天皇」体制を思い出させる苦い過去がありますので、ここいらでというところなのでしょうか。
小田急の件も、これが最終目的ですから完成すればこうなるのも既成路線です。
今の混雑度合いが異常なので、これで人並みくらいにはなるかなと。利用客も待ち望んでいたことですから評価しないと。
小田急やJR中央線といい、混雑緩和の為にあらゆる手を尽くすのは当然のこと。
これに対して京王はどうかというと、わかってはいるのです。やらなければいけないということは。
ただ、すべては周りの環境整備が先決なのです。つまり最優先にやるべきは「開かずの踏切」対策。ここから手をつけないと、他社と競うことを論じるのはおかしいですし、外野がどうこう言うのもおこがましいですから。
お上に言われるようではおしまいなのです。
事業を京王・東京都・各自治体・国・そして利用者が協力して推進させることが大切です。
それである程度の青写真が見えてきたら、他社に対してどのような施策を打つかを考えればよいのです。性急は禁物です。
期待していないのではありません。私もすごい期待しています。
が、利用者が文句ばっかり言って事情も知らずに無理難題を要求しているのが気に食わないのです。
京王線がより良い路線になっていくには、一にも二にも利用者の意識が変わらない限り、ハードをいくら作っても何の意味もないのです。
今回はかなりきつい事を言いましたが、そのくらい京王線の利用者には自覚が足らないのです。昨今の様子を見ていて、今回の記事を読んで感じたことを言わせて頂きました。
長文乱文失礼しました。
Posted by 調布の松 at 2016年05月04日 16:40
いよいよ小田急の複々線化完成の目処がたち京王も今より厳しい競合を強いられそうです。ただ、小田急複々線化の対抗策は予め京王でも検討されれいると思うので、有料列車導入に加えて今後京王がどう出るかが気になります。(例えば相模原線の加算運賃廃止とかですかね)
ただ、いくら対抗策を出しても朝ラッシュがかなりネックになるでしょう。本数でも所要時間でも小田急に軍配が上がってしまいます。(複々線化の威力恐るべし)京王の朝ラッシュはなんとかして欲しいところですが高架化完成までは難しそうですね。
Posted by 京介 at 2016年05月04日 18:29
調布の松様
多岐にわたる見識のご意見、ありがとうございました。
これから10年位の対応が、その先のありようを決していくようですね。
皆で京王を応援したいものです。
結局は利用者の利便性向上に反映されると思いますので。
京王利用者の意識改革も必要と思いますが、小田急の経営広報の事例を見ていますと、事業者自身(この場合は京王)の情報公開の姿勢も問われますね。
事業者=利用者間の情報共有意識の醸成が必要ですが、
京王の場合、利用者に提供する鉄道事業に対する情報が少なさすぎると
感じています。
Posted by 特急高尾号(コメント返信) at 2016年05月04日 19:34
京介さま
お便りありがとうございます。
おっしゃる通りです。
座席指定列車も午後10時台からでしょうか。
しかし最も基本的に利用者が求めていることは、朝ラッシュ時の通勤通学輸送に関する改善だと思います。
複線ですが高架化実現の折、どこまで現状を改善できるかが
将来の京王の命運を左右しそうですね。
Posted by 特急高尾号(コメント返信) at 2016年05月04日 19:45
小田急線自体、普段はあまり利用しないので、朝の混雑の程度などは一切わかりませんが、列車の増発が可能になるのならば、流石複々線といった感じでしょうか。朝の混み具合はわからないとは書きましたが、以前用事が有って、たまたま休日の夕方に新宿から新百合ケ丘まで快速急行を利用する機会が有ったのですが、複々線ということもあってさぞかし快走してあっという間に着くのかなと思ったら、複々線区間もそこまで速くなく、しかも新百合ケ丘の手間で先行列車に追いつくとかいう予想外の走りをしたのが印象的です。

今度の工事完成で代々木上原から登戸・向ヶ丘遊園まで複々線になるようですけど、代々木上原から東と向ヶ丘遊園から先は当分複線のまま残るということですよね。確かに朝の所要時間は京王と大差をつけることが出来て、利用者を獲得出来たとしても、実際京王が被る影響は、そんなに大きくないんじゃないかと考えてます。特に多摩センターと新宿の間については、町田方面との兼ね合いも有って、実際そこまで列車増発もできないのではと思います。

とはいっても、京王としてもやることはやらなきゃいけないわけですから、立体化とそれに伴う退避設備増設、座席指定列車の導入など、やると決めたことをコツコツと進めていってほしいです。日本全体の人口は減り続けていくものの、東京は当分の間は人が増え続けるみたいですし、観光客だって外国からも来るわけですから、何か手を打つのは、それらが終わってからでも遅くないと思いますよ。これからどうなるのか、ゆっくり見守っていきます。

やたら長くなり、かつ内容も支離滅裂で申し訳ありませんでした。
Posted by うめざわ at 2016年05月10日 21:23
うめざわさま
お便りありがとうございます。
JRと小田急に挟まれた京王としては、ここで何もしなければ埋没というシナリオもあるため、有料座席指定列車を始め、今後様々な積極施策を展開していくものと思います。
複々線前後は確かに複線で列車接近によるスピードダウンも考えられますが、そもそも入口の議論で、"小田急は複々線、京王は複線"とのイメージ定着が、将来両社にどのような影響を及ぼしていくのか、利用者・ファンとして見とどけたいと思います。
"複々線、恐るべきものなり" などというという事にならなければ良いのですが…。
京王は複々線にはかないませんが、鉄道事業トータルのサービス面では小田急をしのぐ秀逸であるなど、新しい特色を積極的に開発していくことが必要ですね。
Posted by 特急高尾号(コメント返信) at 2016年05月11日 00:43
はじめまして。
私は47年間京王沿線住民です。京王ファンです。
首都圏内で唯一豆粒路線の京王電鉄は小田急と
よく比べれられがちですが、スケールが違いすぎます。トータルサービスは小田急の足元にも及びません。車両もチープだし、乗せてやってる感まるだしです。
客対応も乱暴だし、でも愛着があります。
一言、小田急が高級すぎるのですね。
Posted by Marantz at 2017年04月20日 13:25
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