2017年05月09日

No889 2017年度鉄道事業設備投資計画を読む


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          ▽ 2017年度鉄道事業設備投資計画(一部) 京王HPより ▽

京王は先月28日、昨年度より110億円多い総額293億円規模の2017年度鉄道事業設備投資計画ホームページで公開しました。
昨年より、1ヶ月も早い公表です。

昨年度と比較すると、利用者の安全対策やサービス向上施策がより充実・強化された内容となっています。
新規事業や従来からの施策で見直しが図られたもの、またファンとして関心が高いものなどについて触れてみます。

【ホームドア整備の1年繰り上げ・転落防止固定柵の新設】
ホームドアについては昨年の計画では、新線新宿と渋谷駅で2019年度までの使用開始を目指すとしていましたが、ことし2月に公表した新たな「整備計画」では、新線新宿駅の整備を1年繰り上げて2018年度の使用開始とし、加えて下北沢駅では2021年度に使用開始、明大前駅では駅部工事の進捗に合わせて検討と、2駅の計画を追加公表しました。

889-3 2017年度鉄道設備投資計画 渋谷駅 29.5.5.gif
  ▽ 当初計画よりも1年早くホームドアが整備される渋谷駅   29.5.5 ▽

そして今回の計画では、渋谷駅も使用開始年度を1年繰上げし、新線新宿、渋谷駅とも2018年度までの使用開始を目指すとしました。
ホームドア設置に関する社会的ニーズに加え、国交省検討会、各鉄道事業者の動向等を踏まえ、1年前倒しの判断に至ったものと推測できます。

889-4 2017年度鉄道設備投資計画 飛田給駅固定柵 29.5.4.jpg
        ▽ 転落防止 ホーム固定柵 飛田給駅  29.5.4 ▽

さらにホームドア整備と並行し、飛田給駅などで使用されている「転落防止固定柵」を井の頭線明大前、千歳烏山、京王八王子の3駅に新設するとしています。
京王線笹塚−仙川間の高架化工事(事業期間 平成25〜平成34年度/東京都HPより)の完成を待たずに、当該区間での安全管理対策を早期に実施するという経営判断の見直しがあったと考えられます。
正式なホームドアではありませんが、利用者の安全施策を目に見える形で、随時強化・整備していく姿勢は、"新しい風" として評価できます。
  
【8000系リニューアルは10両2編成、8両1編成を実施】
昨年度に引き続き対象が3編成28両とされました。昨年度の実績から判断すると、今年度も6+4編成が2編成、8両編成が1編成リニューアル工事の対象となりそうです。

当初8000系のリニューアル工事は、大規模改修を実施する6+4の10両編成が対象とされてきましたが、これで今後は各停用の8両編成についても、同時に実施していく方向性が確認されました。
1000系のリニューアル化工事は、昨年度に引き続き3編成15両を実施するとしています。

【有料座席指定列車 運転開始は18年度か−
今年度はクロスシート・ロングシート両刀使いの新5000系や座席管理システムの導入を行うとしています。
9月からはロングシート使用による通常列車とし営業運転を開始するとすでにアナウンスされていますが、今回の設備投資計画では有料座席指定列車としての具体的な運転開始時期などについては触れていません。

今回の公表は設備投資について述べているものであり業務実施や運用について述べたものではありませんが、文脈からすると有料座席指定列車の運転開始は今年度ではなく、来年度(2018年4月か5月)のように感じられます。

【井の頭線明大前駅 上下渡り線新設】
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    ▽ 井の頭線明大前駅下り方で工事中の上下渡り線 29.5.4 ▽

井の頭線折り返し運転設備として、明大前−永福町間に新設備を設置すると公表されました。
渡り線は明大前駅直近の永福町寄りで、すでにことし2月から工事が開始されています。

ダイヤ混乱時、従来は永福町での折り返し運転となっていたものを、京王線との接続が図れるよう明大前駅での折り返し運転を可能にするとしています。

【京王線にも2画面ディスプレーの波 】
京王線では運行案内やニュース・広告などを放映する車内ドア上情報モニターの2画面化が昨年度から開始されています。
今年度は7000系5編成50両、9000系8編成80両など、合わせて130両の整備が行われます。昨年度の70両分を合わせると、これで200両の整備が完了することになります。

一方井の頭線では、1000系3編成15両についての整備が行われます。これは今年度の1000系リニューアルに合わせ、当該編成での同時整備と判断されます。

ところでリニューアル工事が鋭意進んでいる8000系については、ドア上案内表示等についての記述はなく、今後の動向が注目されます。

【ホーム行先案内のマルチカラー化】
ホームのLED行先案内表示のマルチカラー化については、今年度は新線新宿、京王永山、井の頭線明大前の3駅で整備するとしています。

現在井の頭線明大前駅上りホームは渋谷方に案内表示が1台設置されていますが、ホーム後方からは全く見えない状態となっています。混雑緩和のためにホーム後方に誘導されている利用者からの、ホーム後方での増設ニーズは高いと考えられます。

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 ▽ ホーム行先表示増設のニーズが高い井の頭線明大前駅上りホーム ▽

日々利用している利用者の立場からの思いは、駅構造や利用者誘導施策に即したニーズの汲み取り、サービスの向上を、ぜひこの機会に実現して欲しいということです。

【車上蓄電池システム】
新造する新5000系について、新たに「車上蓄電池システム」を搭載するとし、これにより停電時、橋梁時等の場所から自力で車両の移動が可能になるとしています。

この自力走行については、走行可能距離等の性能については触れられていません。
鉄道に限らず、今後首都圏直下型地震等への対応が各方面で求められてきますが、橋梁に限らず新宿−笹塚間3.6kmという地下長大トンネルを有する京王にとって、車両の自力走行能力は極めて重要なテーマです。

長い間、鉄道車両搭載のバッテリーは停電時の車内照明の確保等が中心でした。またトラブル時の車両の移動は別編成による牽引・推進などが一般的でしたが、今回の取り組みは災害・事故発生時の新たな取り組みの第一歩を期する整備と言えます。
長大トンネルや大型橋梁、築堤を有する京王は、「車上蓄電池システム」に限らず、広範な防災・災害対策が求められます。

【火山噴火時への備え 除灰カー トの導入】
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    ▽ 導入が公表された「降灰カート」
         2017年度鉄道事業設備投資計画(一部) 京王HPより ▽

最後に "びっくり整備" です。
自然災害への備えとして土砂災害防止や落雷対策を昨年度に引き続き行うとしていますが、今年度計画に新たに「除灰対策」が盛り込まれました。
説明には、火山噴火時への備えとして線路上に積もった灰を除去する除灰カー トを導入しますとあり、文言に「火山噴火時への備え」とあります。

この項目、表記には、少々驚きました。
敢えて火山噴火と明記したのは、富士山や近年の箱根火山での噴火を意識しているのでしょうか。あるいは沿線に噴火の兆候が迫っているのでしょうか。
そのわりには設備は人力によるブラシで線路上の灰を除去するという軽微なものです。このアンバランスさに、少々違和感を覚えました。

今回の降灰対策については、少々説明不足、唐突感が否めません。
こうした情報は、整備する背景や必要性を加味し、丁寧な説明が求められます。

以上、このほど公表された京王の「2017年度鉄道事業設備投資計画」を俯瞰してみました。
近年の京王はこうした年度計画を、「京王ニュース」だけでなくホームページでもより詳しく事前公表するようになり、情報開示の観点からも好感を持ちます。
情報量も多く、より具体的な内容に踏み込んだ点も多々あり、利用者にとっては有益な情報といえます。

京王の1年間の取り組み、企業姿勢が俯瞰できるため、全ての利用者の目に容易に留まるよう、今後はホームページだけでなく、駅構内やホーム等での掲出が実現するよう期待します。
利用者は京王を身近に感じ、京王に対する理解促進はよりいっそう深まると思います。

posted by 特急高尾号 at 08:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月28日

No876 井の頭線明大前駅 上下線に渡り線新設へ


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   ▽ 上下線間に渡り線の新設工事  井の頭線明大前駅 29.2.28 ▽

井の頭線明大前駅の下り方、永福町寄りで、上下線を繋ぐ渡り線の新設工事が行われています。
新設される渡り線は、まだ設置工事の途中ですが、ホームからもその状況が手に取るように分かります。

876-3 井の頭線明大前駅に渡り線 29.2.28.jpg

渡り線の線路構造、状態を見ると、工事用の臨時線というものではなく、明大前駅での列車折り返し運転を可能とする、正式な線路敷設のように見えます。

工事は列車の運行が止まる深夜時間帯にのみ行われているようで、私はほぼ毎日明大前駅を利用しているにも関わらず、気づきませんでした。

このあと可動するポイント部分の取り付け、架線設置、各種試験などを行って運用開始に至る手順だと思います。

876-4 井の頭線明大前駅に渡り線 29.2.28.jpg

乗務員の方に聞くと、この渡り線は折り返し運転設備という答えが返ってきました。

定期列車に明大前行きが新設されるということは考えにくいので、ダイヤ混乱時における京王線との連絡輸送の確保、サービス強化が目的だと考えられます。

この記事は、「明大前の松さま」から頂いたコメント情報をもとに取材しました。


posted by 特急高尾号 at 18:37| Comment(10) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月01日

No866 2017年京王電車 ことしの動向は−

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   ▽ いよいよことし登場へ。京王初の「有料座席指定列車」予想図
                     京王ホームページから 28.3.16 ▽

新年おめでとうございます。
ことしも「京王線 井の頭線応援歌」をよろしくお願いします。
ことし最初の話題は、2017年京王電車の動向です。

【新5000系登場】
京王電車のことしの最大の話題は、何といっても京王線・相模原線に登場する有料座席指定列車に使用される新5000系の登場です。
有料座席指定列車の運行開始は来年春とされています。仮に来年3月から運行開始とすると、10両編成5本50両が一時期に新造されますので、最初の編成はことし秋から冬にかけて登場すると予測できます。

どんな車両が登場するのかいまから楽しみですが、昨年から始まった井の頭線1000系リニューアル車のお洒落な内装、仕上がりを見ると、車内外の仕様については期待が持てるのではないでしょうか。
小さな子どもたちが先頭車で前方展望をより楽しめるような車内構造や、運転室背後にも握り棒の設置、また先頭車両へのヘッドマーク取り付け機能などにも期待したいところです。
いまからワクワク、ゾクゾクです。

【車両動向】
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     ▽ 新5000系登場により、今後去就が注目される7000系 ▽

一方新5000系の登場によって、既存車両の動向が気がかりです。
新造車が投入されれば、既存車の一部が廃車されるのが一般的と考えると、50両もの新造車両が一時期に投入されるわけですから、そのタイミングで廃車が出ることも視野に入ります。

その場合、車歴の古い7000系が対象となりますが、2両・4両・6両の7000系は支線や増結・汎用輸送用として確保という事になれば、8両編成の中から初の廃車が出るという事態も、もしかしたらありうるかもしれません。
若葉台や高幡不動の収容能力の余地如何、あるいは最終列車後の一部列車を車両基地ではなく駅構内での "外泊留置" を行うなどで廃車は杞憂となるか、それとも実際に廃車が始まるか、ことしから来年にかけての車両動向には目が離せません。
万が一のことも想定し、検査切れ間近の7000系は要注意と考え、撮影に励むことも一策です。

このほか京王線8000系や井の頭線1000系の大規模改修・リニューアルも継続され、京王電車の近代化が進みます。

【ホームドア、東京五輪対策】
2020年開催の東京五輪を控え、各鉄道事業社はホームドア設置や駅構内の安全対策、環境整備を次々と打ち出しています。
また東京メトロ銀座線での障害者ホーム転落事故死を受け、ホームドアの設置については行政が一日の乗降客10万人以上の駅の設置推進を早めたり、鉄道事業者自身も多機能の新型ホームドアの開発を進めています。

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   ▽ 新宿駅ホームドア
      安全対策の視点から、ターミナル駅以外での設置も必要に ▽

そうした中で京王も今後のホームドア設置について、新線新宿駅と渋谷駅で2019年度末までの使用開始を目指した設置計画を明らかにしていますが、これに加え特急通過駅の笹塚や千歳烏山、また狭隘ホームに人が溢れて危険な井の頭線明大前駅など、利用客の安全確保の視点からも必要とされる駅については、早期の設置が求められそうです。

さらに五輪競技が行われる味の素スタジアムの最寄り駅、飛田給駅下りホームにはホーム柵が設置されていますが、さらなる対策強化も必要と考えられます。
また最近の人身事故の多さには驚きますが、ひとたび事故が発生すると警察の検証も含めて1時間の運転見合わせが発生するため、五輪輸送ピーク時に事故が重なると、ダイヤや輸送実態が大混乱という最悪の事態が予測されます。

こうした五輪対策、近年の社会的要請として強まったホームドア設置、ホーム人員配置などの積極的な事故防止安全対策について、ことし5月に公表される京王の2017年事業計画、さらに次期経営計画で今後どのような強化・拡充策が打ち出されるか、京王利用者の注目が集まります。

【各種サービス】
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   ▽ 優先席中央にも手すりの設置開始 8501号 28.9.18 ▽

リニューアル編成全ての車両に車いす・ベビーカー優先ゾーン設置や優先席の中央にも手すりの設置開始、ホーム行先案内表示器の更新=マルチカラー化や一人ひとりの区分を明確化した新型ベンチへの取替え、駅構内への銀行ATMの設置、さらに先月から開始された列車位置情報のサービス開始などなど、京王の車両や駅、ホームの光景が変化しつつあります。

また列車位置情報提供など、IT技術を駆使したサービスの取り組みもスタートしました。こうした設備の近代化、更新等の流れはことしも継続され、さらに利便性が向上すると思います。

今後はダイヤ混乱時の列車運行情報について、ツールや機能ごとのきめ細かな情報提供、必要に応じて運休列車などの補完情報や追加情報の発信など、より具体的な情報提供を実現する業務実施体制の整備を行い、利用者目線に立った、利用者が期待する列車運行情報の開発・実現に努めて欲しいと思います。

続きを読む
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2016年11月06日

No848 京王ニュースに「安全・社会・環境報告書 2016CSRレポート」


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京王では毎年1回、「安全・社会・環境報告書 CSRレポート」と題した、グループ全体の安全対策や社会貢献、環境保全に関した報告書を公表しています。
2016年版はすでに9月30日にホームページ上で公開されていますが、75ページにもわたる内容のうち、鉄道部門の安全施策を中心として概略版が、「京王ニュース28年11月号」に4ページにわたって紹介されました。

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内容はホームや踏切での安全施策の紹介や走行用電力の再利用、再生可能エネルギーの再利用など多岐にわたっていますが、とくに災害等への備えのコーナーでは、鉄道構造物の耐震対策や降雪時運転対策、地震や強風、大雨時の運転規制基準など、利用者にとっても、ファンにとっても、京王の気象災害に対する取り組み概要を知る上で、有益な情報が公開されています。

こうした分野に詳しい利用者やファンにとっては、もっと踏み込んだ詳しい内容を知りたいと思うかもしれませんが、そうした点については今後のさらなる内容の充実・強化に期待するところです。

ところで「安全・社会・環境報告書 CSRレポート」は、かつては各駅で冊子版が配布されていましたが、その後各駅での冊子配布は廃止され、ホームページ上での公開が基本となりました。
冊子版が必要な人は申し込みを行って送付を受ける形となっていたのですが、今回は京王ニュースでの公開が加わったものです。
多くの人が、より平易な形で、こうした経営情報の一端を目にすることが出来るように改められたことは、特筆に値します。

今後はホームページや京王ニュースだけでなく、鉄道部門の当年度事業計画などの内容も加え、駅構内やホーム掲示ボードなどでの情報公開へと発展していくことを期待したいと思います。
京王と利用者間の、意思疎通回路のよりいっそうの充実・強化こそが、安全輸送・サービス強化につながる最も大切な取り組みだと思います。

なおホームページで公開されている本編の「安全報告」28ページには、ことし1月18日の大雪時、3車両基地から列車の出庫が出来ず、通常の3割しか列車の運転が出来ない状態に陥ったトラブルの原因、今後に向けた再発防止策が記述されています。

[参考]
    ホームページ上では探しにくくなっています。
   トップページ一番上 → IR・企業情報 → 右側下のCSR・その他
       → 安全・社会・環境報告書 CSRレポート → 2016年度レポート と
         順次クリックしていきます。


posted by 特急高尾号 at 10:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月24日

No819  京王 2016年度鉄道事業計画から


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            ▽ 京王ニュース28年6月号表紙(一部)▽

京王は現在、2020(平成32)年度以降を視野に入れた、グループ全体の「向上と拡大」を目指す土台作りとして、2015-2017年度の中期3ヶ年経営計画に取り組んでいます。


現在はその2年目にあたります。
鉄道部門では、笹塚−仙川間高架化工事や有料座席指定列車の運行などを骨格とした計画の実現に向け、現在鋭意計画の推進を進めています。

特に有料座席指定列車については、これまで以下のように数次に亘り計画の内容が公表され、また今月はその集大成として京王ニュース6月号で、「未来の京王」と題した特集記事が掲載されました。

[ これまでに公開された有料座席指定列車に関する情報]

そこで今回はこうした一連の広報・経営資料を俯瞰し、28年6月現在で、「有料座席指定列車」を中心に鉄道事業で新たに判明したこと、不明な点などについてまとめてみました。

[有料座席指定列車に関する諸点]
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       ▽ 京王ニュース28年6月号掲載記事・イラスト ▽

【広報の流れ】
京王の有料座席指定列車は、27年5月8日、「中期経営計画の策定について」(注2)の中で、初めて収益力向上策の一環として、計画期間中に検討を行うと公表されました。

そして早くも今年3月、ニュースリリースで「2018年春から座席指定列車を導入!」(注3)と実施計画が公表されました。
その中で新5000系50両を新造、平日・土休日の夜間帰宅時間帯に京王線と相模原線で運行とし、新5000系のイラスト図まで発表すという、具体的な内容が明らかになりました。
「検討する」とした27年5月から同じ年度、なんとわずか10カ月後のスピード公表でした。

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 ▽ IR情報(注4)P32  「座席指定列車」と「ダイヤ改正」を位置づけ ▽

これに加え、ことし5月には株主向けIR・企業情報「2015年度決算説明」(注4)内の2016年度の取り組み、さらに27日にはニュースリリース「2016年度鉄道事業設備投資計画」(注5)が公表され、前者の中期経営計画年度計画表の中で、「有料座席指定列車」の運転計画とダイヤ改正が正式に位置付けられています。
さらに京王ニュース6月号では、「未来の京王」(注6) と題し、大々的に事業計画をアピールしたことはご存知の通りです。

以上が「有料座席指定列車」広報の簡単な経過です。

「有料」か否か−】
京王は当初、「有料座席列車」としていましたが、28年3月のニュースリリース以降では「有料座席指定列車」とし、「指定」の2文字が加わりました。
ところがことし6月の京王ニュース「未来の京王」記事では、今度は「有料」の2文字が消えています
言わずもがな、あるいは敢えて「有料」の2文字を外す判断をしたものだと思われます。

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         ▽ IR情報(注4)P34 座席指定料金を収受すると明記 ▽

27年5月のIR情報内の「2016年度の取り組み」では、「座席指定料金を収受することにより、収益力の向上を図る」と明記されており、有料であることが示されています。 

【列車種別は−】
一方この列車の列車種別については、28年6月現在、京王は「特急」との呼称はもとより、種別に関することはこれまで一言も触れていません。

ただし日本経済新聞は、中期経営計画の内容を報じた27年5月8日付け朝刊記事では「有料特急列車の導入を検討」とし、その後28年3月の「有料座席指定列車を導入!」のリリースを紹介した28年3月17日付け記事でも、「有料の座席指定特急」として紹介しました。

ところが翌18日付け解説記事では、「特急」の文字は外され、「座席指定列車」に変更しています。京王が一度も「特急」の言葉を使用していないところを見ると、メディアの思いこみによるフライングかもしれませんが、真相は不明です。

もとよりこの列車を東武のTJライナーや京急のウィング号のように、愛称を制定して愛称そのものを新しい列車種別にするか、または有料の座席指定ネームド特急として、あくまでも「特急〇〇」と「特急」を前面に押し出していくのか、今後の京王の判断と選択が大いに気になるところです。

【運行開始時期は−】
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   ▽ 28年3月のニュースリリース  導入を「2018年春」としている ▽

利用者にとっても、ファンにとっても、今後の最大関心事です。
運行開始時期の最初の広報は28年3月のニュースリリースで、サービス開始時期を「2018年春」としています。
ただしこの「2018年」が「暦の上」の事なのか、「年度」なのかは不明確でした。

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   ▽ IR情報(注4)P32「ダイヤ改正」と「座席指定列車」の開始時期 ▽

その次に公表された28年5月9日のIR情報内「2016年度の取り組み」の中期経営計画表では、運行開始は「2018年春予定」(グレーの横棒線の上から3番目)とされているものの、その文字は「2017年度」の枠内に収まっています。つまり2017年度中に運行開始と判断できます。
同じ表でダイヤ改正(同、上から2番目)については業務対象期間が2017年度を突き抜けていますが、時期については「2018年春予定」と記されており、当然有料座席指定列車とセットで考えるべものと思います。

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▽ 京王ニュース28年6月号表紙(一部)▽

ところがその後5月27日のニュースリリースでは再び「2018年春」とされ、「未来の京王」と題した京王ニュース6月号表紙、及び特集記事では、単に「2018」とだけ記されています。
特筆されることは、京王ニュース6月号表紙の左下に、極小文字で「記載している西暦は年度を指しています」と注意書きが入っています。

現在、有料座席指定列車の運行開始時期については、IR情報の2017年度、京王ニュースの2018年度と、2つの異なる公式表明がなされています。

【実際の運転期日、運転時間帯は−】
そして利用者やファンにとってもう一つの大きな関心事は、この列車が実際に運転される時間帯です。

この点について京王が初めて触れた28年3月リリースでは、「平日・土休日の夜間帰宅時間帯」と説明しています。
ところがこのリリース内容を記事にした28年3月17日の日経新聞は、「夕方から夜間にかけた帰宅ラッシュ時に新宿発の座席指定特急として運転」としました。
翌18日にも座席指定料金の見通しなどを述べた解説記事を掲載しましたが、今度は「平日・土休日の夜間の帰宅時間帯」とし、さらに「ラッシュ時は除くという」と、京王の立場を補足する文言が付け足されました。
先の列車種別「特急」の件と合わせ、メディアと京王の間で情報伝達、意思疎通に課題が見られる事例でした。

この件に関しては、京王が説明した「夜間帰宅時間帯」とは、いったい何時から何時を指すのかに尽きます。
一般慣習でいえば17時台以降は夜間の帰宅時間帯ですが、現状ダイヤでは18〜19時台はラッシュ輸送のピーク時間帯であり、複々線の完成を待つか、またはダイヤの根本改定をしなければ有料座席指定列車の設定は難しいばかりか、新宿駅ホームの使用実情の面からも困難が予想されます。
その意味では日経記事の、「ラッシュ時は除く」との文言は怪我の功名として価値があり、これにより有料座席指定列車の運転時間帯は、平日の場合は夜間ラッシュピーク時の前後時間帯、またはラッシュピーク時が済んだ後の時間帯に運転されると推測することが出来ます。
土休日はラッシュピーク時でも運転可能なダイヤを設定するという手も考えられます。

【都営線直通乗り入れに関して】
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公開されている新5000系のイラスト図を見ると、先頭ドアの右側にはっきりと「5731」の数字が記されていることが分かります。京王ではこれまで、各系列の30番台は地下乗り入れ、都営新宿線乗り入れ仕様車に付与しています。

このイラスト図は継続して各種広報で使用されていますので、「5731」の数字は単なるイラストデザインとして描かれているのではなく、実際に新5000系は地下乗り入れ、都営新宿線乗り入れ仕様車として登場すると考えられます。

という事はロングシートで一般運用に入る場合、あるいはダイヤ混乱時には都営新宿線への乗り入れもハード的には可能と考えられます。
さらに将来、都営交通との協議が進めば、平日夜間には本八幡発橋本行きや、土休日には本八幡=高尾山口間のロングラン有料座席指定列車の運転なども視野に入ります。
そうした意味では、新5000系は京王の未来を開拓する、まさに戦略的車両と位置づけられます。

このほかことし6月29日に開かれる第95期株主総会資料(株主に配布  P44)では、有料座席指定列車の導入について、収益力向上を目指すためには輸送人員の確保を重要課題として認識しており、これに対応するために有料の座席指定列車の導入準備を始めるとしています。

[このほか新たに判明した事柄]
このほかことし5月27日に公表されたニュースリリース「2016年度鉄道事業設備投資計画(注5)により、今年度の新たな取り組みとして、以下の内容が新たに判明しました。

▽新5000系の設計
▽継続中の車両リニューアルとして8000系3編成28両、1000系3編成15両を実施
▽車内液晶ディスプレーの2画面化を9000系7編成70両、1000系3編成15両で実施
▽府中駅、京王よみうりランド駅のリニューアル
▽行先案内盤のマルチカラー化を飛田給駅、高幡不動駅、吉祥寺駅で実施
▽新線新宿駅、渋谷駅のホームドア設置に向けた設計業務実施、完成は2019年度の予定
▽高尾線の線路わき斜面の防護工事の推進


[8000系リニューアル工事に変化か
このうち8000系リニューアル工事については「3編成28両」とあり、30両とすべきところの誤植なのか、はたまた新しい括りでリニューアル工事が実施されるのか、非常に気になる点で注視する必要があります。

また車内液晶ディスプレー2画面化の9000系7編成70両の対象編成も気になるところです。
液晶ディスプレー2画面化では井の頭線と同様にニュースなども放映するという事ですから、営業運転を行いながらニュースコンテンツの更新を可能とするなど、背後では高度な映像受信に関する工事も行われるはずです。
こうした機能が充実すると、テレビ放映やインターネットコンテンツの同時再送信も技術的には可能となり、将来車内モニターのありようが大きく変貌する可能性も考えられます。新しいビジネスチャンスだけではなく、京王は新宿−笹塚間で4キロ弱の長大トンネル区間があるため、防災アプリの展開や災害時の情報提供ツールとしての役割りも果たせそうです。

[先進の「有料座席指定列車」実現に期待]
以上が、中期3ヶ年経営計画、及び2016年度を軸とした鉄道事業の俯瞰です。
京王はこれまで経営計画の広報は、IR情報でグループ企業全体を一括して公表してきました。そのためこれまで鉄道部門に特化した詳細な事業計画や、車両や駅施設の小規模な改修工事等の情報はほとんど公表されてきませんでした。

そうした中、今年度は5月に「2016年度鉄道事業設備投資計画」がニュースリリースで公表されるなど、鉄道事業に関する情報開示の取り組み姿勢に変化が現れました。
JR中央線の2階建てグリーンカー投入や、競合他社の複々線完成によるダイヤ改正攻勢が近づくことを意識しての施策だと考えられます。
有料座席指定列車のありようや運行開始時期は、そうした厳しい周辺環境の中で、いかに最適化、存在価値を高めていくかが鍵となりますが、来春には経営判断が下されると思います。

有料座席指定列車の創設という点では京王は後発ですが、かつて通勤車両の冷房化などで私鉄界のトップを走った伝統
の進取の気性を如何なく発揮し、利便性が高く、かつ最先端機能と上質な車内空間を有する、先進の「有料座席指定列車」の実現に、大きな期待を寄せたいと思います。

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2016年05月04日

No810 2018年春 京王VS小田急の陣


808-1 小田急複々線化後のダイヤを伝える28.4.28日経新聞朝刊.jpg
     ▽ 小田急線複々線化後の列車ダイヤを伝える
     平成28年4月28日の日経新聞朝刊記事(一部)▽

4月28日(木)の日経新聞東京地区朝刊社会面(15ページ)を見て、びっくりしました。
「小田急電鉄 朝の列車3割増へ 複々線化でラッシュ緩和」とあり、まとまった記事が掲載されていました。

さっそくソースを調べると、この日小田急電鉄は、「2015〜2017中期経営計画進捗状況」「2016年度鉄道事業設備投資計画」、それに「複々線完成に関する効果について」と題した経営に関する3本の記事を、それぞれホームページ上で公表していました。
日経新聞の記事は、それらを簡潔に要約したものでした。

小田急の公表情報、及び日経新聞記事によると、現在も続けられている東北沢−和泉多摩川間の複々線化工事のうち、残る東北沢−世田谷代田間の工事が2018年3月に完成するとしています。
それに合わせ急行・準急系統と各停を別線に分離して抜本的なダイヤ改正を実施、その内容は平日朝ラッシュ時の各駅から新宿までの所要時間を5〜10分程度短縮するとともに、大幅な列車本数の増加と混雑率の緩和を実現するというものでした。

具体的には、列車本数は3割増加、平日朝ラッシュ時ピークの7時〜8時台の上り列車を現在の27本より9本増やして1時間当たり36本に、また代々木上原からの東京メトロ千代田線への乗り入れ列車も5本から12本に増加させるという内容でした。

つまり複々線化工事完成後の2018年3月ダイヤ改正では、所要時間の短縮、大幅な列車本数増と混雑率の緩和、東京メトロ直通列車増による都心方面へのアクセス向上を実現するというものです。

これらの内容が小田急と並走・競合する京王にとって、あらかじめ想定されていたこととはいえ、実際にどの程度の影響をもたらすのか。
そう遠くはない、あと2年後の事ですから、今後関心が高まるものと思われます。

【京王電鉄では−】
こう考えると、昨年9月実施の京王のダイヤ改正は、この小田急の複々線完成後のダイヤ改正の攻勢と、その後2020年度に予定れているJR中央線快速電車の2階建てグリーン車投入を意識し、現段階で最大限の取り組み、先行実績作りを試みたと言っても過言ではないと考えられます。

つまり、土休日も含めた始発・最終列車の繰り上げ・繰り下げ、早朝始発から深夜までの特急列車運転、ATC活用による列車のスピードアップと所要時間短縮、都営線直通列車の大幅増、特急続行運転のありようが注目された中での橋本特急の継続運転などです。

そしてとどめはことし3月、昨年5月に「検討」を公表したばかりの有料座席指定列車について、いきなり新車投入と運転開始時期を小田急のダイヤ改正時期に合わせたともとれる2018年春と公表したことです。
有料座席指定列車の運転区間には当初から新宿−橋本間の相模原線が設定されていること、車両は現有車両の改修ではなく、新車5000系50両を新造して対応することなども、これでうなずけます。

【京王の奮闘に期待】
有料特急やホームライナーの運転については、小田急には長年にわたる経験とノウハウが蓄積されています。
一方経験のない京王は、有料座席指定列車を現行複線路線で運転するため、ダイヤの設定はもとより、新造車両のグレード、指定席販売方式や改札方式などに真価が問われます。
京王は運転時間を「夜間帰宅時間」としており、現在の狭隘ダイヤの中で具体的にどのような時間帯に設定するのか注目されます。

また小田急との競合区間、たとえば多摩センター−新宿をはじめ各区間で、所要時間については小田急に水をあけられる可能性が想定されます。

列車ごとの駅間所要時間はスマホで簡単に比較が可能な時代に入っており、今後競合区間では所要時間の長短が利用者の乗車選択の大きな要素になりそうです。
小田急は、「複々線完成に関する効果について」のリポートの中で、「ラッシュ時間帯を中心に速達性を向上させ、競合する他路線との差別化を実現」すると明言しています。

混雑率も、小田急は現行の体が触れ合う189%から、新聞・雑誌が楽な姿勢で読める160%程度にまで軽減するとしています。

都心方面への利便性向上については、京王は昨年9月のダイヤ改正で都営新宿線直通列車の大幅増を実現、小田急より一歩先んじた形となっていますが、直通運転の区間急行、快速の所要時間がかかり過ぎ、この点に課題を残しています。

小田急はことし3月にも大規模なダイヤ改正を実施していますが、将来東京メトロ・JRと共同でさらなる都心方面直通列車の速達化、本数増と運転区間拡大などのダイヤ強化が推し進められれば、京王にとっても少なからず影響を受けることを想定しなければなりません。

そうした環境下で笹塚−仙川間の高架化完成(事業期間:平成25〜平成34年度)までにはまだ多くの時間を要するため、小田急の複々線完成ダイヤ改正時から京王の高架化線完成ダイヤ改正時までの間は、京王にとってはある意味正念場、踏ん張りの時期になりそうです。

このように京王にとっては、これから厳しい競争時代を迎えますが、時あたかも小田急が複々線完成時のダイヤ改正概要を公表した同じ4月28日、京王は代表取締役の異動人事を内定し、公表しました。
これまでの代表取締役会長兼社長は代表取締役会長に、代表取締役副社長が代表取締役新社長に就任するというもので、6月に行われる株主総会後に正式決定するという事です。

今回の異動人事の内定については、これまでの実績を踏まえつつも、2020年代以降の京王グループの成長の実現に向け、人心を一新し、新しいスタートを切るための交代と、その意義を説明しています。

京王は沿線の左右をサービス強化、鉄道事業強化策に突き進む競合路線に挟まれる中、有料座席指定列車の運転、高尾山観光輸送強化などを進める一方、その後に続く笹塚−仙川間高架化完成、新ダイヤ開発などを通じ、もっとも基本となる通勤・通学輸送のさらなる利便性の向上・快適性向上を実現してほしいと思います。

それに加え、京王らしい特色として駅施設や車両機能の高度化促進、時刻表や運行情報などの情報発信機能強化など、新たな差別化ポリシーを明確に打ち立て、鉄道事業全体に関するサービスや付加価値向上に向けた伝統の進取の取り組みを、新執行部に期待したいと思います。

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2016年03月19日

No796 京王初 有料列車は2代目5000系で登場 有料座席指定列車の課題は−


796-1 有料座席指定列車予想図.jpg
   ▽ 公表された京王初の「有料座席指定列車」予想図
              京王ホームページから 28.3.16 ▽

16日(水)午後、京王からびっくりニュースが公表されました。

昨年5月に公表された2015〜2017年度中期3ヶ年経営計画の中で、「検討する」とされていた京王初の「有料座席指定列車」の導入計画が、ホームページやメディアを通じて明らかにされました。

そこで16日発表の京王ニュースリリース、及び翌17日、続いて18日の日本経済新聞朝刊報道などで判明した内容、及びそれらの内容から現時点で推測できる事柄について記してみます。

【運行開始】
  ・2018(平成30)年春
  →という事は、この時期にダイヤ改正実施が予想される
【運転】
 ・平日・土休日の夜間帰宅時間帯
  →京王は夜間時間に、メディアは夕方から夜間にかけてと報道
   夕方からの運転ではいったいどんなダイヤに?(後ほど詳報)
  →昨年は平日夜間運転と伝えられ、今回は土休日も含むと発表
【運転区間】
   ・新宿−京王八王子、及び新宿−橋本間
    →昨年、列車新設の目的は高尾方面観光需要の開拓、及び
   夜間帰宅輸送としたが、今回は帰宅輸送のみが公表された
【車両】
  ・2代目となる5000系車両(10両固定編成5本)を新造
  →ファンの間では8000系8両編成の改造なども噂されていたが、
   100億円を投じて50両を導入。
  ・製造はJR東日本子会社の総合車両製作所。
  同社が手掛ける他社車両の車体、一部部品の共通化でコスト削減
796-2 有料座席指定列車予想図.jpg

【車内仕様】
 ・クロスシーとロングシートの転換方式
  座席指定の場合はクロス、その他の運用ではロングシート
  →東武鉄道東上線50090系「TJライナー方式」と同様
 ・イラストによると4扉車、戸袋、妻面窓は無し。大型貫通路ドア
  →運転室直後、連結部等の車内座席仕様は不明
 ・ドア上のほか、天井にも液晶の車内案内表示器を設置
  →JR西日本快速車両と同様仕様
 ・各車両に車いす・ベビーカースペースを設置
  →全車両バリアフリー化対応。山手線新型E-235系と同様
 ・空気清浄機、無料公衆無線LAN、電源コンセントなどを搭載
  →電源コンセントの設置場所や設置数等は不明

【省エネ・新技術対応】
 ・新型VVVFインバーター制御装置、LED照明、新技術の
   車上蓄電池システムの導入
  →回生電力を蓄電池に充電して再利用、走行電力削減のほか、
   停電時の自力走行を実現する
   東京メトロも銀座線で類似システムの搭載をPR中

【座席指定料金・列車愛称】
 ・いずれも未定
  →2020(平成32)年に登場予定の、JR中央線2階建て
   グリーン車料金等との調整を考慮するものと思われる。
   日経新聞は「300〜500円程度に設定する方針」と報道
  →愛称は公募か。

[楽しみな新5000系の登場]
昨年5月、中期3ヶ年経営計画で「座席指定列車を検討」すると公表してから僅か10カ月、今回の発表を唐突に感じた方も多いかもしれません。しかし2年後には50両もの新車を登場させる規模ですから、当時から内々には2018(平成30)年春の運転開始方針はほぼ決まっていた可能性がありそうです。
京王としては今回の発表は、すでに確定済みのスケジュールに則り実施したと思われます。

それはともかく、固定10両編成5本の新造には、びっくりしました。
また新車両が「5000系」と命名されていたことに、多くのファンは安堵と喜びを感じたのではないでしょうか。
とはいえ、2代目、新5000系は伝統のアイボリーホワイトから脱却し、現在のコーポレットカラーと、正面は新たに黒を基調にする新しい井手達となりました。既存車両との差別化が目的だという事です。

全車両バリアフリー化など各種の車内仕様や回生電力を蓄電して自力走行を可能にする新技術など、他社機能の “いいところ取り” のオンパレードといった感もありますが、先端機能を極力折り込むといった点で高く評価できます。
颯爽と、“京王の新しい風“ として快走する姿がいまから楽しみです。

[10両固定編成]
10両と言う両数は、朝間ラッシュ時の新宿到着列車は全て10両編成に統一しているため、一般列車としての使い勝手を優先したと考えられます。
6+4の基本+付属編成の形態をとれば、調布や北野で京王・相模原・高尾線での分割併合や波動輸送、日中時間帯の使用方法も多岐なものが考えられます。
しかしそうした複雑な運用は避け、10両固定というシンプルな形態に徹すれば、日中は通常の特急や準特急としての使用が可能なため、最も汎用性が高い選択をしていると言えます。

ところで10両固定5編成の増備ですから、車両基地の収容は問題がないのでしょうか。
京王は深夜の外泊は原則しない方針ですから、まさかの、よもやの7000系一部車両の代替廃車が始まる…などという ”事件” は起きないとは思いますが…。

[新5000系は地下乗り入れ車]
イラストをよく見ると、先頭車の車号が「5731」となっています。
30番台は地下乗り入れ車の附番ですから、2代目新5000系は「地下乗り入れ車仕様」であることがこれで判明しました。
リニア新幹線橋本停車と連動し、将来はいわば “新幹線接続京王特急” 的な使用や、通勤時間帯にも都営線発橋本行き有料特急も視野に入っているのかもしれません。

[ダイヤと改札システム]
ファンとして今後の最大関心事は、運行ダイヤと停車駅、そしてその影響ですね。
運転時間について京王の発表は「夜間」でしたが、17日の日経新聞は「夕方から夜間にかけた帰宅ラッシュ時間」と報道しました。
18〜20時の超過密時間帯にどうやってダイヤを構成するのかと思案していたところ、翌18日朝刊では「運行するのは夜間の帰宅時間帯で(中略)、運行時間はラッシュ時を除く」と改められました。
17日版で夕方から運転としたのは手違いで京王が訂正を求めた可能性が考えられますが、18日版では「夜間でもラッシュ時は除くという」と、京王がそうした見解を示している表現で、さりげなく前日の内容を訂正しています。

これをそのまま解釈すると、運転本数が減り始める22時台以降での “ホームライナー” 的な運転が想定されます。
いったいどのような設定、運転になるのか、関心が高まります。
また前回ダイヤ改定時と同様、ネットではシミュレーション議論が盛んになりそうです。

一方、出札・改札・検札等はどのような仕組みで行われるのか、そうした点についても大いに気になります。「着席確保」ではなく、「座席指定」としている点が気がかりです。
なにしろJRグリーン車のように有料車両が2両ではなく10両ですから、車内検札などを行っている間に終点に着いてしまいます。
事前購入やチャージ制、検札無しなどを目指し、車内での乗客に対するメンテナンスは行わない方向も含めて検討されると思います。

[ぜひとも『有料特急列車』としての運転を]
最後に、京王ファンとしての想いを綴ってみます。
今回京王は新型車両による列車運転を「座席指定列車」として広報しています。前回広報の時もそうでしたが、「特急」という言葉を使用していません。
日経新聞は前回、今回とも「特急」として報道してはいますが…。

しかしこのままいくと、京王の新列車は東武や京急のように「有料特急列車」ではなく、「ホームライナー」としての位置づけが定着してしまう可能性があります。

日本の私鉄車両として、「有料特急」なのか、単なる「座席指定ホームライナー」なのか、位置づけは重要です。

有料特急列車として位置づけすれば、各種公的統計や論文、リポートのカテゴリーもそのように扱われますし、なにより子どもや児童相手の絵本、図鑑等でも有料特急の括りとして扱われます。しかし「ホームライナー」では、登場すらおぼつきません。

今後、土休日の高尾山口方の行楽輸送、相模原線でのリニア接続輸送、都営線からの直通設定などを考慮すると、ここはネームドトレインの『有料特急列車』として位置づけることが賢明、経営戦略に資すると考えます。

そのためには、車内は高尾山や繊維の街八王子の絹糸をイメージした内装にするという事ですが、可能な限り高級感や京王の品位といった感じを積極的に演出し、単に着席だけでない、有料特急列車として恥じない空間・機能の提供・満足度に応えて欲しいと願います。

また先頭車デザインはヘッドマークを取り付けるような仕様には見られませんが、そうした遊び心、キャッチグッズ、演出にも目配りが必要です。

[真の沿線価値向上を目指して]
かつて何度も検討し実現に至らなかった京王の有料特急列車の運転が、いよいよ現実のものとなってきました。
JR中央線快速列車のグリーン車新設、小田急電鉄線の複々線化の進捗など、攻勢を強める両強敵に対する危機感に背中を押された形ですが、そうした厳しい環境をチャンスと捉え、積極的な攻めの姿勢に転じているのは、開業100周年を越えた新しい企業風土なのかもしれません。

一番大切なのは、年に数度の高尾山登山客やリニア新幹線接続利用客でなく、朝夕混雑する列車で毎日通勤する沿線利用者です。夜は帰宅時間が流動化しますが、本当は出社時間が遅れてはならない朝の通勤時間帯にこそ、こうした新しい快適・着席サービスを実現して欲しいというのが利用者の本音です。

まずは2年後の平成30年春からスタートし、数々のノウハウを積み上げ、そして来たるべく笹塚以西高架化完成時点でのダイヤ改正では、そうした “京王線利用者長年の夢" をぜひとも実現して欲しいと願うばかりです。
沿線価値向上の本当の姿は、そうした点にこそあると考えます。

(ご参考)

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2015年10月29日

No751 優先席「携帯電話電源オフ」新マナーステッカー登場


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      ▽ 優先席 携帯電話 新マナーステッカー  27.10.29 ▽

優先席付近での携帯電話電源オフ呼びかけの新マナーステッカーの貼り換えが、京王でも今週から順次始まっています。

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これまでは優先席付近での携帯電話に関するマナー呼びかけは、「携帯電話の電源をお切りください」というものでしたが、新しいステッカーでは、「混雑時には携帯電話の電源をお切りください」に変更されています。

これは携帯電話の電波が性能向上で出力が弱まったことなどから、心臓ペースメーカーなどの医療機器に悪影響を及ぼす可能性は非常に低いとして総務省が2013(平成25年)年にペースメーカーなどとの距離制限の指針を緩和したことによるものです。

JR西日本など関西の鉄道事業者は昨年7月から緩和していましたが、JR東日本や関東大手私鉄など、関東甲信越と東北の37の鉄道事業者もことし10月1日からマナーの呼びかけ内容を緩和、優先席付近での携帯電話の電源オフを「混雑時」のみに限定したものです。
新指針では医療機器と携帯電話の離すべき距離は、22センチから15センチ程度以下にならないように注意を払うとされました。

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各社合同の車内の中づり周知広告では、「混雑」とは「体が触れ合う程度」としています。
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新しいステッカーの色合いはブルー中心となっており、オレンジ色が中心だった京王の優先席の雰囲気が少し変わりました。

また妻面窓に貼られていた優先席表示のステッカーも同時に小型のものに変更され、こちらの方はすっきりした印象になっています。


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2015年06月04日

N0711 京王 2015(平成27)年度事業計画  鉄道部門を見る


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  ▽ 2015年度事業計画を伝える「京王ニュース」27年6月号


京王は先月、グループ企業全体の2015(平成27)年〜2017(平成29)年度の「中期3ヵ年経営計画」を公表しました。(注1)


そのうち鉄道部門に関する2015(平成27)年度分を中心とする事業計画内容が、「京王ニュース」276月号で公表されました。総予算は215億円規模とされています。

そこで京王電車ファンとして、気に掛かる幾つかの項目について述べてみたいと思います。


711-2 京王ニュース27.6 月号.jpg

【ダイヤ改定】

京王線のダイヤ改定を秋ごろ実施とし、その内容については「都心方面へのアクセス向上を目指します」と記されています。

次期ダイヤ改定のコンセプトを、京王が具体的に示した最初の内容です。


この場合の「都心方面」とは、常識的に考えれば山手線内の都心方面と考えられますので、この文章をふつうに解釈すれば、改定では京王新線経由都営新宿線直通方面のアクセス向上、つまり充実・強化が行われると考えられます。


では具体的に乗り入れ列車の種別・名称、設定時間、停車駅等をはじめ、現在は優等列車を中心に相模原線からの乗り入れが中心ですが、果たして京王線・高尾線関係にも変化が生じるのかなど、その運用形態に関心が高まります。


長期的にはリニア新幹線橋本対策を視野に入れながら、都心方面へのアクセス強化を都営交通と京王が共同で取り組むフェーズ1との見方も出来るかもしれません。


このほかファンの間では、特急続行運転に関する見直しが行われるのかどうか、行う場合は橋本特急のありようや都営線直通優等列車を相模原線から高尾線系統へ振り替えるのかなどの点について論議を呼んでいますが、そうした点については不明です。 


【車両のリニューアル】

井の頭線については2015(平成27)年からリニューアル工事に順次着手、車内の快適性を図るとしています。

またニュースやオリジナル番組などを放映する車両ビジョン(ドア上のモニター)や英語放送にも対応した自動放送装置を2019(平成31)年度までに、全車両に導入するとしています。


ただし車両ビジョンや自動放送だけであと4年も要するとは思えないため、「車内の快適性」=車内の内装、椅子等の全面入れ替え、ドア仕切りの設置など、車歴の古い1000系に対して8000系同様の大規模リニューアルを実施するということでしょうか。


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なお井の頭線の車内照明については、2015(平成27)年度中に、全車両での導入を完了させるとしています。


京王線については引き続き8000系のリニューアル工事を進めるほか、車いすスペースの増加など、バリアフリー化機能を充実させるとしています。


京王の車いす優先スペースは現状の10両編成の場合、設置数は25か所、設置場所もバラバラなため、既設座席の撤去等も含めて本格的な新設整備に取り組むのでしょうか。

車いす優先コーナーはベビーカー優先コーナーも兼ねるため、本腰を入れてのバリアフリー化対応が求められます。


【ホームドアの整備】

2015(平成27)年度は吉祥寺駅での使用を開始するとしています。

これで京王のホームドアは、新宿・調布・国領・布田、それに吉祥寺を加えて5駅となります。

すでに東京メトロ銀座線は2018(平成30)年までに、また京王線が乗り入れる都営新宿線、及び東急電鉄が東京五輪開催の2020(平成32)年までに全駅での設置を公表していますが、これまでに判明している京王のホームドア設置計画は新線新宿、渋谷、吉祥寺駅で検討という小規模なものです。今回はそのうちの吉祥寺駅での整備を公表したものです。(注2)


【その他】

継続実施中の笹塚−仙川間の連続立体交差事業については、工事着手に必要となる用地取得と設計業務の実施、対象箇所を拡大しての耐震補強工事の継続、さらにVVVFインバーター制御装置の更新、最新式への置き換えなどの計画が説明されています。


以上が京王ニュース6月号で判明した、2015(平成27)年度を中心とした鉄道事業計画です。

これらを見ると、京王線では秋のダイヤ改定が中心で、井の頭線では車内照明のLED化完了など、継続的に推進される車両リニューアルが柱と見ることが出来ます。


毎年「京王ニュース」6月号はその年度のグループ企業全体の事業計画の概要を特集していますが、今回は中期3ヶ年計画の初年度ということもあり、あくまでも一般利用客向けですが、鉄道部門に関して多くの情報が掲載されました。

こうした情報は全ての利用者にとって知るべき内容ですから、「京王ニュース」だけでなく、誰の目にも留まるようにホーム掲示ボードにも大型ポスターで掲出するなど、情報の露出度をさらに高めてもよいと思います。

利用客が真に求めているのは、高尾山関係の広報だけでなく、本来の鉄道に関するサービス向上や安全施策に関する事業計画や実施情報だと思います。




(注2)鉄道ピクトリアル 平成26年7月 京王特集増刊号
     「京王電鉄の鉄道事業を語る」(P22)
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2015年05月08日

No702 京王 “有料座席列車”(特急)の検討を公表 〜中期経営計画〜


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8日、京王は2015〜2017年度の中期経営計画を公表しました。
その広報の中で、収益率向上策として、中期計画の中で「有料座席列車」導入の検討を行うとしています。

広報、及びホームページで公表された「中期3ヶ年経営計画」では、まだその具体的イメージが掴めませんが、同日の日本経済新聞東京地区朝刊(11ページ)記事によると、"有料特急列車導入の検討"とされています。

さらに記事によると、具体的には "訪日外国人の増加をにらみ、土日や祝日の都心から高尾山方面に向かう観光需要を開拓する。平日の夜間帯に『お金を払ってでも座りたい』という通勤客の声にも対応する。導入時期や停車駅、料金などは今後詰める" としています。

全体としての詳細は分かりませんが、京王の広報、及び日経新聞の記事からは、
▽京王線に有料特急の新設
▽土休日の高尾方面への観光需要を開拓
▽その車両を使用し、平日夜間に座席確保を保障する有料列車を運転
という概要が想像できます。

車両については、新造・または改造のどちらでも、小田急のような豪華特急ロマンスカーではなく、東武東上線50000系TJライナーのような、クロスシーとロングシートの切り替え可能な汎用型車両の導入などが可能性として考えられると思います。

さらにダイヤについては、土休日は専用列車としての運転、または南海のような有料と無料の車両を併結した特急の運転も想定できますが、平日夜間の狭隘ダイヤの中ではどのように運転・運用するのか、興味津々です。新宿駅での有料列車、又は車両のホーム利用、料金収受も課題ですが、料金や検札関係はほぼ自動化するものと考えられます。

日経新聞が “有料特急” として、現時点での具体的イメージを報じているのは、京王への独自取材か、あるいは京王からプレス向けのブリーフィングがあり、その情報に基づき記事にしたものだと考えられます。

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いずれにしても、ことし秋に行われるダイヤ改定で、現在の特急の続行運転の成り行きが注目される中、またまた新しいビッグなニュースが飛び込んできました。
ただし3ヶ年の経営計画の中で検討するという事で、3年以内の実現を確約しているわけでもありません。実際には2020年以降の笹塚−仙川間の高架化工事なども視野に入れながらという含みも感じられますが、10年後の世界でもないように感じます。

京王の有料特急については、これまでも社内で検討された経緯があると聞いていますが、今回は中期経営計画の中で検討することをはっきり公表、明言したことに意義があります。今後の検討内容に目が離せませんね。

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本稿は、京王ホームページのIR・企業情報の「京王グループ中期3ヶ年計画」、及び広報文、さらに日本経済新聞の平成27年5月8日版を参照してまとめたものです。

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2015年04月30日

No700 その名に相応しく 高尾山口駅が大変身


約7億円を投じ、かねてから工事が進められていた高尾山口駅の大リニューアルがこのほど完成、森林や高尾山の世界を肌で感じられる木目調の新駅舎が27日にオープンしました。
高尾山口駅の開業は高尾線開通と同時の1967(昭和42)年ですから、およそ50年ぶりの大変身ということになります。
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高尾山口駅の新駅舎です。
高尾山の森林を思わせる、木目調の斬新、かつ大胆な外観です。
デザイン・設計は歌舞伎座やサントリー美術館などを手掛けた日本を代表する建築家、隅研吾氏が手掛けました。大屋根は高尾山中腹の薬王院をイメージしているという事です。

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1階、改札内外のコンコースの光景です。
駅舎外観とともに、内装にも杉をふんだんに使用し、木組みで構築されています。

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壁面や柱、エレベータ外壁までもが杉材で彩られています。これまでの駅コンコースとは異なり、まるで別世界。コンサートホールにいるような感じすら覚えました。


ホームに上がってまたまたびっくり。あれもこれも、全てが木製、あるいは木目調の外板に様変わりしていました。

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ホームのベンチです。
木材を使用したフラットなもので、すぐ目につきます。

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駅名標も案内標も、優しい色合いの木目調に様変わりです。
天狗のイラストは調布地下駅の下り方向を示すボードや上下ホームにも描かれていますから、2例目の登場です。

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時刻表ボードだけでなく、こんなものまで木目調に。一昨年、新れーるランドオープンでリニューアルした多摩動物公園駅でのノウハウが活かされています。

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乗車位置ステッカーにも拘りが見られます。
カエデのイラストが添えられただけでなく、「乗車位置」の文字書体も和風にするなど、個性を持たせています。
しかも1番線はカエデ、2番線ではサルと、番線でイラストの絵柄を変える徹底ぶりです。

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待合室もリニューアルされました。
天井には木枠、イスも木製に。フレームも明るい色に変更され、和風の清々しい環境に様変わりです。

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そして天井からは、いくつもの行燈が吊り下げられています。
京都・阪急嵐山線の嵐山駅が、先輩格として同様の飾りを設えています。夕刻にはどのような灯りが灯されるのか、実際に見てみたくなりました。
ともあれ、ここまでやるかというほどに、駅舎もホームも、大リニューアルされた高尾山口駅です。
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29日の祭日は、駅長や駅員さんが大勢駅前広場に出て、高尾山のパンフレットを配布したり、行楽客の求めに応じてカメラのシャッターを切るなど、サービスに努めていました。

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ところで高尾山は、2009(平成21)年に「ミシュランガイド」の最高評価三ツ星を受け、また近年の登山ブームで外国人も含めて訪問者の増加が続いており、昨年度の高尾口駅の一日当たりの平均利用者数は06(平成18)年比で4割近く増え、1万人を超えているそうです。

こうしたことから京王は高尾山口駅、及び周辺の整備を続けているのですが、今回の大リニューアルの完成で、文字通り高尾山の登山口、玄関駅としての趣きを備え、かつ周囲の景観・自然と調和した魅力一杯の駅として生まれ変わりました。

ことしの紅葉シーズンまでには、京王が建設を続けている温泉施設も駅前に完成する予定です。秋には京王線のダイヤ改定も予定されており、京王線、高尾線の改定ダイヤの成り行きも注目です。温泉入場券付きの割引切符が登場したり、週末や祝日には "高尾山温泉特急" が運転されたりしたら通快、いやいや痛快ですね。

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そうこうしているうちに、高尾山口駅のホームに夕暮れが迫ってきました。
気になっていた、くだんのホームの行燈にはご覧のように橙の灯がともされていました。また木目調の駅名標がなんともいえぬ優しい明かりに包まれ、高尾山口駅ホームをいっそう静寂と幻想的な世界に仕立てていました。

余談ですが、待合室のLED照明の色も電球色という、徹底した凝りようでした。夕暮れの高尾駅散策も一興です。

撮影は全て、平成27年4月29日です。

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2015年03月08日

No686 快進撃 “ICカード利用率” がもたらすもの



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       ICカード利用率に関するポスター 27.3.7 ▽

今週末、幾つかの駅でご覧のポスターが貼り出されていることに気づきました。

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京王線・井の頭線で自動改札機を利用した利用客のうち、平成26年12月現在で約91%がICカードを利用しており、今後も自動改札機のIC専用通路化を順次進めていくというものでした。

そういえば最近は切符を買う利用客よりも、チャージする利用客の方が多いように見受けられます。それを裏付けるようにここ数年、駅の自動券売機周辺の光景には少しづつ変化が起きています。

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  ▽ 改装以来、券売機が増えなかった渋谷駅西口
    券売機部分は埋め込まれている特異なケース 26.11

新宿、渋谷、明大前、高幡不動などと言った利用客の多いターミナルや主要駅はもとより、券売機が4〜5台程度の駅からも1台、2台と券売機が姿を消したり、チャージ専用機に変更されたりしています。

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     ▽ 早期に縮小された新宿駅西口 23.11の様子

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   ▽ 4台分のスペースで2台に縮小のケース 明大前 27.3.8 ▽

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  ▽ 脇役だった「チャージ」の文字が正面に  高幡不動  27.2 ▽

切符を購入する人が減少しているため、当初の設置数で十分に余裕が出来、更新時期に設置数の見直しや券売機を減らしてチャージ専用機を増やすなどの対応を行っているようです。
規模の小さい駅では、券売機5台のうち2台が消滅、1台はチャージ専用機に変更、そのため券売機は2台のみに縮小などの例が見られます。
このため時間帯によっては、逆に新たに券売機に行列が出来る光景を見ることもあります。

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  ▽IC専用機はピンク色  今後さらに増加が予想 ▽

一方IC専用改札機を増やすという事ですが、こちらは切符併用機よりもコストダウンが図られるため、事業者にとっても望ましいことなのかもしれません。

券売機縮小の “跡地利用” について新宿駅西口で見てみますと、23台中8台縮小のJR、半減の東京メトロともども、苦労している様子がうかがえます。

京王の新宿駅西口は、券売機縮小の一部跡地に定期券販売コーナーを移設、もとの定期券販売コーナーは銀行のATMコーナーとして貸与するなど、うまく “玉突き活用” が図られています。

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  ▽ “券売機跡地” が定期券売り場に 現在の新宿駅西口改札付近 
  券売機5台、チャージ専用機2台の僅かな陣容に変身 27.3.8 ▽ 

時代とともに、“駅の顔” である自動券売機や自動改札機周辺も、少しずつ変化しているようです。

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2015年02月13日

No682 京王にも統一“ベビーカーマーク” 登場


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  ▽ 京王にも統一「ベビーカーマーク」が登場 27.2.12 ▽

京王電車の内外に、ベビーカー使用での優先乗車スペースを表示する統一「ベビーカーマーク」のステッカーが登場しています。

ベビーカーの優先乗車スペースは車いすの優先スペースと共用のため、ステッカーも車いすステッカーと並んで貼られています。
限られたスペースですが、お子さんを乗せたベビーカーはこのスペースを活用してくださいとの誘導サインでもあり、駅貼りポスターではベビーカーを使用した状態で乗車する利用者に対して車内でのマナーを守るよう呼びかける一方、一般利用客に対してもベビーカーの乗車に対して理解を呼び掛けています。

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ところで乳児を乗せたままでのベビーカーの乗車に関しては、最近では鉄道事業者が認めているのですが、かつては車内での転倒事故防止や混雑した車内での一般乗客への迷惑にも配慮し、“ベビーカーは折りたたんで乗車” を旨として利用者に周知したり、ベビーカーを使用しての乗車に関する事業者間での統一見解や統一マークなどが制定されてこなかった経緯があります。

しかし近年、利用者からの強い要望を受け、また各鉄道事業者も法律に伴う駅構内のバリアフリー化や車内の車いすスペースの設置が進んだことを受け、国土交通省やJR・民鉄協加盟鉄道事業者、バス事業者団体などで作る協議会(注1)は昨年3月、統一見解としての公共交通機関での「ベビーカー利用にあたってのお願い」と、統一の「ベビーカーマーク」を決定し、広く国民に啓発活動を行っていくことを確認しました。(注2)

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  ▽ 都営新宿線「ベビーカーマーク」 笹塚 26.8 ▽

それを受け、首都圏ではトップバッターとして昨年夏、東京メトロと都営地下鉄がベビーカーを折りたたむことなくそのままで乗車可能なことを示す統一の「ベビーカーマーク」ステッカーを登場させました。
その後の取り組みが注目されていましたが、昨年冬から山手線などのJR線でも広範囲にこのステッカーの表示が始まりました。そして今月中旬に入り、いよいよ京王でも統一の「ベビーカーマーク」ステッカーの掲出が始まったものです。

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目に見える形でベビーカーを使用しての乗車を “公認” し、一方でベビーカーを使用する人にも一般乗客にもマナーや理解を求めるという点で、この統一マークの掲出は画期的な意味を持ちます。

京王線は都営新宿線からの乗り入れ本数も多い中で、都営車両は統一「ベビーカーマーク」を掲出し、京王車両は非掲出の状態が半年以上も続いていましたが、今回の取り組みで足並みも揃い、バリアフリー化がさらに前進したことになりました。

(注1)「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」


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2014年11月01日

No661 南大沢駅「副駅名標板」登場


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  ▽ 南大沢駅に取り付けられた「副駅名標板」 26.11.1 ▽

きょう111日(土)から、相模原線南大沢駅に「副駅名標板」が取り付けられました。

これは駅近傍にある地元とゆかりの深い施設などの名前を駅名標に併設して表示するものです。これにより当該施設の最寄り駅であることが明確になるとともに、施設と鉄道、駅を結びつけ、利用客の利便性を高めることが出来ると京王のホームページで説明されています。

同時に京王にとっては、「副駅名標板」を広告収入源として扱うもので、今回は“広告販売の検討”という位置付けでの開始です。

661-2 南大沢駅 副駅名標板 26.11.1.jpg

第1弾として選ばれたのは、首都大学東京南大沢キャンパスの最寄り駅である相模原線南大沢駅です。上下各5ヶ所の駅名標の下に、「首都大学東京 最寄駅」と記された副駅名標板が取り付けられました。                                                              京王では、今回設置した副駅名標板」の効果を検証した上で、来年度から他駅への拡大を検討するということです。

661-3 南大沢駅 副駅名標板 26.11.1.jpg

最近の京王は、車内の広告枠を増やしたり、駅構内のデジタルサイネージや床面でのマッピング広告など、有料広告媒体の開発に力を入れているように映ります。
この「副駅名標板」については来年度以降、どのように展開していくか見守ることになります。

実際に見てみると、天井からの吊り下げタイプもホーム面設置タイプもかなり大型で、インパクトも印象も強く感じました。
それだけに公共性の高い施設や観光地に限定するなど、社内で京王に相応しい運用基準を策定し、品位の保たれた展開を願うものです。

なお副駅名に類似した例としては、東急電鉄や京浜急行などにも例があるという事です。
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2014年07月22日

No639 20日・24日の落雷による運転見合わせについて


20日、京王線は国領−柴崎間の鉄道施設で落雷・故障が発生し、午後7時ころから10時前までの約3時間、新宿から高幡不動、及び相模原線を中心に、運転見合わせ状態が続きました。
落雷は自然災害ですからある意味京王も被害者ですが、立ち往生した電車に偶然乗り合わせ、長時間の待機、振替輸送を余儀なくされた利用者の一人として、以下に感想を述べます。

約3時間にもわたる運転見合わせの原因が、京王の鉄道施設への落雷による停電であったにもかかわらず、駅の案内表示やホームページ、運行情報メール、ツイッター等では、その原因を単に「落雷による停電」とだけしか伝えませんでした。この姿勢はとても不自然に感じました。

立ち往生した電車内では、国領−柴崎間で(対象には触れず…)火災が発生、消火活動と現場検証が終わらなければ運転再開はできない状況だと伝えられました。当然乗客は、沿線民家の火災と思いました。しかしニュース報道で、実際は京王施設への落雷、停電、消火活動が行われたと知って驚きました。
利用客に大きな影響を与えたわけですから、京王には正確な情報提供の責任があったと思います。

次に京王の運行情報メールやツイッターでの情報配信についてです。
今回は運転見合わせから約30分経過後に、情報が配信されました。私が契約している有料サイトからのメール速報は、当事者の京王より6分も早く運転見合わせの情報が届きました。
京王のツィツターは運転が不可能な状態になってから30分近くも、それまでの「平常運転」の文字が表示されたままでした。
ソーシャルメディアの運用については、多くの利用者が速達性と情報の高度化、運行トラブル時の頻繁な発信について、強く望んでいることと思います。

最後に、原因が落雷という自然災害による停電であったにせよ、翌日の21日、電車内や駅構内、ホームページなどで、運転見合わせについての状況説明、お詫びのコメント等、京王からの利用者に対するメッセージの発信はありませんでした。

“信頼のブランド”を社是として掲げている京王ですが、お客様の立場、気持ちに寄り添う姿勢については、改善の余地が大きいと感じました。(ここまでは22日アップ分)

【追加】
24日、東京地方は再び夕刻から激しい雷雨に見舞われ、井の頭線は午後6時40分ころから7時15分近くまで、渋谷−富士見ヶ丘間で運転見合わせとなりました。
この際の京王の駅での広報や運行情報メールは「永福町駅構内で緊急設備点検のため」と伝えていました。一方メディアは「落雷による停電のため」と報じていました。

この表現の差は、やはり違和感を感じないわけにはいきません。何が原因で緊急設備点検を行わざるを得ない事態に至ったのか、事の真相を伝えない姿勢は、かえって利用者の不安と疑念を抱かせる結果になるのではないでしょうか。
(この部分は24日アップ)

posted by 特急高尾号 at 14:46| Comment(4) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする